No.1自動車メーカーの展示

 

 

世界No.1の自動車企業に躍り出たトヨタ自動車(トヨタグループ)の、

トヨタ産業技術記念館を訪ねた。古い話になるが、大阪万博以来

国や、企業の博物館には興味がある。印刷された会社案内では

写真でしか判断できないことが、実物を見ることが出来るし、

博物館を通して企業イメージを、どう発信してるかも勉強になる。

最近はサイン(看板)や展示グラフィックもトータルでデザインされ、

さらにアトラクションやワークショップなど、エンターテイメント性も

プラスされ、家族でも楽しめる施設になっている。

 

 

はじめに一番印象に残った展示が上の写真、垂れ幕に企業理念ではないが、

トヨタ発展のヒントとなる言葉が印刷してあった。

このブースはきっと展示に苦心したに違いない。同業者や親父は

すんなり受け入れられそうだが、自慢や説教じみた言葉を、

格好良くイメージアップするのは難しい。これだけ堂々と垂れ下がって

いるのは壮観で自信の表れか。No.1だから許されるというか

語たることができるんだろうなぁ。

建物は、100年ほど前の、工場のレンガ壁を活かしたものだ。

当時は照明電力の節約、明るさ確保のためにデザインされた

のこぎり屋根だが、特徴的なのこぎりラインがリズミカルで、

レンガで被われた大工場の、重々しさが和らいでいるように感じる。

 

 

展示で大切なことは、見やすく分かりやすいは当然のこととして

最近は、驚きや感動をもたらすエンターテイメント性が重要だ。

モノだけではなく、そこに居た人まで再現されると、その人が

何を考えていたのだろうとか、興味は倍増する。

古い建物、人物を単色(白)にしているのは、展示物を引き立てる

効果もあるし、さらに照明で雰囲気をコントロールしている。

白衣を着ていたと、勘違いする人は居ないとは思うが…。

 

 

産業革命で鉄の機械が表れたことにより、男の夢も変わったのかも知れない。

小さい頃、近くの線路へ蒸気機関車を、毎日見に行ってたらしい私は

この大きな蒸気機関の空間を、心地よいと思えるほどだった。

実際は油臭く、うるさく、空気も汚く、労働環境としては最悪だろうが

無味無臭で格好良く展示されていると、戦闘機など殺人兵器を美しいと

思ってしまうような、本能をくすぐってくる。

 

 

 

昔、母の実家の工場にあった、織機と同タイプが展示してあった。

上部にある穴の空いたカードにより、織り方を調整する、

CDプレーヤーが最新としたら、オルゴールといったところか。

一台でも相当うるさそうだが、工場で何台も動いているときは

会話もできなかった記憶がある。新しい機種は、製品機種名も

グラフィックデザインされており、だれも気づかないだろうが

Tと7がちょっと見分けづらく、苦心したんだろなぁ。

 

 

 

コンピュータと違って、車が動く仕組みは知っていたつもりだが、

実物を目の前に、展示だけではなく、いったい何処に仕込んだか

感心するほど、モーターが仕込まれていて動くので子供にも分かりやすい。

エンジンの発展の歴史も、マニアならずとも複雑になっていく過程がわかる。

こんな複雑な機械が、よく故障もなく毎日動いているなと驚くほどである。

もっとも私の車は、オイルも水も今チビリながらヒヤヒヤ運転しているが。

 

 

 

各ブースにコンパニオンが付き、丁寧に説明してくれる。

新マーク募集過程で、TOYODAからカタカナのトヨタなった経緯を、

丁寧に説明してもらった。ダがタになった理由の1つに

画数が8画で縁起がいいことなど、バスガイドさんみたいな抑揚(失礼)

ではあったが、ビデオでは無理な思い立った質問を、その場で応えてくれる。

さらに、親父はもれなく鼻の下ものばせる、ありがたい展示補助であった。 

 

 

 

今はもうラインナップから外れてしまったが、スペシャルティーカーの元祖、

憧れていた懐かしい車、初代セリカ。キャッチフレーズは、たしか

「未来の国からやって来た」だった。高一の時、自己紹介で一人の女子が、

「セリカの流れるようなラインが好きです。」と言っていたのを憶えている。

今見ると結構角ばったラインなのだが、当時にすれば美しいラインの車だった。

この日は屋外で試乗会が行われ、行列で混み合い、全体が撮れなかったが、

色といい、ロゴのスワン?のデザインといい、女性に親しみが持たれたのも

納得のスタイリングだ。ん?親父かお兄さんが乗ってただけかな。

 

 

 

車の展示はトヨタ博物館があるので、こちらは歴史上の代表車が並んでいる。

一番新しいところのソアラ(こちらも初代は大ヒットしたが消えてしまった)は、

レクサスのエンブレムが付いていた。まだまだ独のブランド力には、

追いついていないと思っているが、レクサスがトヨタだということを、

知らない世代もそろそろか2000GTは模型での展示で残念だった。

 

 

 

ほとんどの親子は、ここが目当てではないかの賑やかしいブース。

展示物を見て回るより、身体を使ってゲームで体感する方が

楽しいには違いない。教室でじっとして学ぶ方法は間違ってるとは

言えないが、子どもたちに学ぶ興味を自主的にの、ヒントがここにあるようだ。

ミニカーを自由にカラーリングできる、小中学生限定のワークショップも

行列ができるほど、賑わっていた。

 

 

自動運転の技術も急速に進歩して、運転免許が入らなくなる日も意外と

近いと思っているが、楽器を正確に演奏するロボットは、

まさにそんな日が、間違いなくやってくることを予感させる。

客寄せパンダ(失礼)のように、子どもたちは、興味深さそうに

聴き入っていたが、もしあの手が、楽器以外のモノを操作したら…

そう考えたら、心配性の私はバイオリンの音色が無味乾燥な、

シンセサイザーのように聞こえてならなかった。

便利なモノには必ずリスクが伴うことを、子どもたちに伝えたい。

 

 

 

折角のグラフィックポスターも、4隅がプッシュピンで穴だらけになり

雨の日ということもあり、たるんでシワになっていた。

案内板にも後から貼り付けた、協賛メーカーの黒いボードがべったりと。

豪華な石張りのピカピカ床が印象的な入口の大ホールには、後から立てられた

カタチも、大きさも、色も、統一感のない案内スタンドが乱立。

器が小さい私は、特にこの2点が気になったが…。

 

 

思い起こせば、IKEAは実にシステマティックで、後貼りの

店員ポップは1枚も見あたらなかった。こちらも世界No.1の家具量販店。

販促にも企業イメージアップにも、きめ細かいデザイン戦略があるにちがいない。

来年、近くにオープンするので厳しくチェックして来よう。

嫌な客と思われない程度に…。

 

 

 

 

 

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