男鰥な映画 11 予告編程度しかネタバレありません。

レヴェナント  蘇えりし者 …… 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

 

やはり映画は映画館で観なければ

この作品は最近ブルーレイをレンタルしたのだが、本当にしまったと思った。

映画はビジュアルよりの私は、IMAXで観ておけばと後悔するほど

素晴らしいカメラワークの映像だった。

さらに音楽は坂本龍一。ほとんどメロディーを感じない音の繰り返しだが、

時折ティンパニーの音にドキッとするぐらい、きめ細かく構成されている。

映画の引き立て役に、しっかりと役目をはたしたサウンドトラックだ。

 

 

 

 

出だしの沼地シーンから、戦闘シーンへのカメラワークは息を呑むほど。

本当に矢が飛んでくるような、恐怖を感じた。

戦国時代の真実とかで知った昔のいくさでは、殺傷は刀ではなく、

弓矢が一番怖いを実感した。ちなみに次は槍、そして投石が続くらしい。

時代劇で、刀で斬り合うのは絵になるが、実際の戦いは

もちろんそんな、格好いい物では無かったんだろう。

先住民側は弓で攻撃してくるが、この時代の銃は2連発ぐらい、

連射では敵わない。ひゅんひゅん飛んでくる弓矢の怖さを感じた。

 

 

 

映画の大半がサバイバル描写になるのだが、特に複雑なストーリーもなく

原作本を読んでいたら退屈しそうな展開。しかし、映画は素晴らしい映像表現で

大自然を映してくれ、ぐいぐい引き込まれていく。部屋でダラッと観ていては

いけないと、自然環境の過酷さに襟を正し、毎年必ずニュースになる

山での遭難事故を思ってしまう。今年は熊に襲われる、痛ましい事故も。

山菜採りも命がけだ。自然を舐めてはいけない。

 

 

日本版ポスターのキャッチ、復讐の先に何があったのか…

主人公は先住民の妻を軍隊に殺され、ハーフの息子とともにガイドの仕事で

子育てをしているのだが、規律を守り仕事の信頼もあり、争いを好まない男だ。

息子が差別を受けても相手にするなと戒める。妻を死なせてしまった

後悔で心の中は沈んでいるが、息子が生きる希望となっているのがわかる。

そんな男だからこそ、神様が仕組んだ本能が際立つ。自分より大切なモノのために

生きるということは、種族存続のために仕組まれた本能だ。

そして、より強い物が生き残り、強い遺伝子を伝えていくことも本能だ。

だから、いじめも戦争もなくすのは難しいのだろう。

過酷なサバイバルを乗り切り、目的を果たすために生きた男は

最後にどんな表情をしたのか。人それぞれに読みとり方が違いそうだ。

 

 

 

セリフがほとんど無いのに、オスカーをとったディカプリオの演技。

凍てつくような過酷な環境で、裸になり生肉に食らいついたり、

髭も実際に長く伸ばしたそうだが、役への意気込みが伝わってくる。

何度もノミネートされ、やっとのオスカーも納得の演技である。

 

 

注:この写真のような笑顔は本編にはありません。毛皮はフェイクかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファインディング・ドリー … 監督:アンドリュー・スタントンアンガス・マクレーン

 

 

ファインディング・ニモの続編は、前回大活躍した文字の読める魚、

ドリーの物語だ。相変わらず我が男鰥のマーリンは助演であるが、

こんなに感情移入できる役者、いや役魚もいない。自分に近い考え方の性格だ。

毎日を平穏無事に生きていきたいのでの心配性。危険には近づかないように

前作とまったく変わっていない。前作でも思い起こせば、まわりに助けて貰い

人徳のなせる業とはおもうが、最後も息子の方からなので、なんともなさけない…

今回も吹き替えで観たのだが、ぼそぼそと話す木梨憲武の声がピッタリだ。

 

 

 

 

ハリウッドアニメ、ヒックとドラゴンの主人公もそうだが、本作も

障害者を登場させるアニメだ。ヒックは片足、ニモは片ヒレが小さい、

そしてドリーは若年性痴呆症の障害を持つ役だ。人間だとリアルに感じて

しまうだろうが、アニメになると子供だけでなく、大人まで障害への障害が和らぐ。

パラリンピックの最近のプロもビデオもそうだが、クリエーターが

真剣にこういった問題に取り組んできているのを注目している。

 

 

 

 

この鳥の目はどこかで見たと思ったら、シンゴジラの目と同じだ。

何を考えているか分からない怖さがあるので、マーリンも信用できなかった。

しかし実はで、これも見た目で判断するなと言うことか。

ただ、2匹のオットセイが1匹をのシーンは、ちょっと笑えなかった。

あと、マーリンのどれか選べも、ここまで来て…それはないんじゃと。

 

 

 

 

マーリンとレヴェナントも妻を死なせてしまった後悔が、同じ軸として

描かれていると思う。それは二人とも心配性という面で理解できる。

どちらも息子に、危険を避けて地道に生きろという共通点。しかし

人生はそう都合良くはいかない。逃げても危険は向こうからやってくる。

むしろ危険に立ち向かうことを教えないとなのだが、子育ては難しい…

そう考えると、ドリーの両親は、たった1つを繰り返し教えたことが

うまくいく。子供に自信を持たせ、自ら成長することを。

探すのではなく、ある一手を打って信じて待つ二人に、涙が止まらなかった。

 

 

まるでコンサートの前座バンドを聴くように、ピクサーお約束の

ショートストーリーも子育てがテーマ。本編と同じく

親はなくても子は育つが、ひしひしと感じる可愛いお話だ。 

 

 

 

 

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